2016年に私が日本・オーストラリア・アメリカ合衆国の研究者たちと共同で発表した研究です。
Scienceの姉妹誌、Science Advancesに掲載され、世界5か国で報道されたほか、Science誌にも研究紹介記事が載りました
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Asahara et al. (2016) (オープンアクセスです)
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Science誌の記事
カモノハシは咀嚼をするにも関わらず歯を失った唯一の哺乳類ですが、その理由は謎に包まれていました。
私たちは、1000万年前の化石カモノハシ、オブドゥロドンと現生のカモノハシの頭骨形態を比較研究しました。その結果、くちばしの感覚器官(電気感覚等)の発達とともに、その感覚を伝えるために太くなった神経が歯根の収まるスペースを奪ってしまったため、歯が失われたという結論に至りました。
なぜくちばしの電気感覚が発達することになったのか、それにはオブドゥロドンとカモノハシの採食行動の違いがありそうだということなど、頭骨形態からいろいろなことが判明しています。
くちばし(あるいは吻部)の鋭敏な感覚は単孔類に特徴的なものです。この感覚は中生代から十分に発達していたというのがこれまでの定説でしたが、本研究により、現在のカモノハシレベルの鋭敏な電気感覚は、比較的最近になってから完成されたもののようであることがわかりました。
以下は研究成果をイラストで解説した図です