若手研究者支援事業に対する行政刷新会議の事業仕分けに関する意見書 TOP
意見書の本文です。
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衆議院議員 前原誠司 殿
(民主党 京都府総支部連合会 御中)
(自由民主党 京都府支部連合会 御中)
(公明党 京都府本部 御中)
(日本共産党 京都府委員会 御中)
(社会民主党 京都府連合 御中)
若手研究者支援関連事業に対する行政刷新会議の事業仕分けに関する意見書
私たちは、基礎科学系の分野を主に専攻する、京都大学の大学院生有志です。
この度、行政刷新会議による事業仕分けにおいて、事業番号3-21:競争的資金(若手研究育成)における特別研究員事業をはじめ、事業番号3-52:競争的大学院支援事業等の、若手研究者の雇用に直結する事業(以下、本件事業と言います)が軒並み予算縮減と判定されました。
我々は本件事業につき、科学研究の現場に最前線で携わる大学院生の立場から、仕分け作業における重大な瑕疵を指摘するとともに、判定結果の与える影響を危惧し、見直しの必要性を訴えるものです。
本件事業予算縮減の結論に至る議論の中では、例えば(特別研究員(PD)等によるポスドク雇用は)「セーフティネット事業と理解している」「ポスドクの生活保護のようなシステム」などといった見解が一部の仕分け人から表明されました。これは事業番号3-21の評価コメント中でも特記すべき意見として扱われています。
しかし、このような指摘は重大かつ明白な事実誤認であると考えます。大学院生は教育を受けると同時に、現在の科学研究に現場で貢献する立場です。また、ポスドクは削減されてきた常勤の大学教員を補完し、科学研究の主力となっています。本件事業は、これらの大学院生およびポスドクの雇用を通じて、人材の育成のみならず、現に各分野の研究推進に極めて重要な役割を担っているものです。そして、これら研究員等の雇用は能力・業績・研究計画等の評価に基づいて行われ、例えば特別研究員(PD)は昨年度競争率が11倍超であるなど、「セーフティーネット」や「生活保護」のようなものには到底なり得べくもないものです。
我々は、大学院生やポスドクの雇用等について、現状の仕組みをベストと主張するものでは必ずしもありません。しかし、代替の事業なしに本件事業予算縮減が実行されれば、それはこれら若手研究者の大量解雇をほぼ同時に意味します。学術界は貴重な人材と人員を大量に失い、現在並びに将来のわが国の科学研究に対し、重大な悪影響を及ぼすことは確実であると考えます。
本来、そのような政策決定がなされるのであれば、それは正しい情報に基づく十分な議論の結果でなければならないはずです。事実誤認の末に下されたと考えざるを得ない本件事業への判定には、我々は、雇用を奪われる当事者としても、また科学研究の発展を願う一市民としても、到底納得することができません。
貴殿(貴党)におかれましては、以上を踏まえ、十分な検討の無きままに本件事業予算の縮減が実行されることのないよう、ご尽力いただきたく、お願い申し上げます。
京都大学大学院 基礎科学系 大学院生有志
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